COLUMN

2022年3月8日 コラム

意外と身近!素敵なアップサイクル品と出会おう

SDGs(持続可能な開発目標)という言葉そのものや、17のゴールそれぞれが日本で認知された昨今、資源循環への注目がますます集まっている。その中でも一番身近に取り入れやすいアップサイクル。
非常に複雑な工程と、その過程でCO2排出など環境へ負荷をかけるリサイクルとは異なり、素材そのものの特徴や個性を活かしながら文字通り元の製品・性能より価値を高めて再生する仕組みのことだ。捨てられるはずのごみを再生させるのは容易ではないし、一から物作りをするよりもコストがかかる場合もある。しかし、この仕組みが社会の中で「環境」と「経済」2つの意味で成り立てば「ecology」&「economy」2つのエコに貢献できる事になる。これから大注目のアップサイクル。意外と身近な好例を紹介する。

世界的企業も参入

◼マクドナルド・オーストラリアは、店舗で使用していたプラスチックストローと海洋プラスチックごみを用いてオリジナル水着にアップサイクル。抽選にて限定販売された。気軽に多くの人が利用するファストフード業界にも、使い捨てプラスチックに終止符を打ち、ごみをなるべく出さない変革が急速に進んでいるようだ。

【McDonald’s / Our stories 】https://corporate.mcdonalds.com/corpmcd/en-us/our-stories/article/Planet.straw-sustainability.html

◼2016年より、アディダスは環境保護団体のParley for the Oceansと共に海洋プラスチックごみをアップサイクルした素材を用いてトレーニングシューズやウェアに変える取り組みに力を注いでいる。海洋プラスチックごみから再生された素材は、バージンマテリアルで作られたプラスチック素材とほぼ同じ機能を有し、シューズやウェアを作る事ができるという自信作だ。2019年には海洋プラスチックごみを原料としたシューズを1100万足販売すると宣言。圧倒的なアップサイクル品の生産力でサステナブルビジネスをリードしている存在といえる。

【adidas×PARLEY COLLECTION】https://shop.adidas.jp/parley/

思わず「欲しい!」日本でも広がるアイデア満載のアップサイクル製品

◼BEAMS COUTURE(ビームスクチュール)は、BEAMSオリジナル商品のデッドストック品などにひとつひとつ手仕事でアップサイクルするブランドだ。個性溢れる一点物のアイテムが勢揃いする。

【BEAMS COUTURE】https://www.beams.co.jp/brand/005831/

◼海洋プラスチックごみやマイクロプラスチックを回収し、アクセサリーに加工するアップサイクルブランド『カエルデザイン』。SDGsのゴール14“海の豊かさを守ろう”を実現するだけでなく、ゴール8“働きがいも経済成長も”を目指し、アップサイクルの工程の中で様々な障がいを抱える人たちと共に働き、生活改善や自立へつなげる活動も同時に行う。元は海洋プラスチックごみだったとは思えないアクセサリーが揃い、オンラインショップで簡単に購入が可能だ。

【カエルデザイン】https://kaerudesign.net/

◼2008年に設立されたブランド『NEWSED』。名前の通り「古くなってしまったものを新たな視点で見ることで新たなものとして蘇らせる」をコンセプトにし、古材や廃材を使用したオシャレなアップサイクル品の家具や雑貨等が多数揃う。廃材が持つそれぞれの形状や特徴の良さを最大限に活かす商品開発を大切に、アップサイクルそのものの意義を見失わない物作りに注目が集まる。

【NEWSED】https://newsed.jp/

◼熊本市にアトリエとショールームを持つ『MUSKAAN(ムスカーン)』はヴィンテージ着物のアップサイクルブランドだ。商品すべてが生分解性のある正絹素材とした一点物で、熟練した縫製士によって丁寧に仕立てられており、自然環境循環やクラフトマンシップの保全などサステナビリティを意識した作品作りがコンセプトとなっている。現代のライフスタイルに合わせたデザインとしながらも、忘れかけられている日本の古き生活や文化の根底にある美意識も感じられる技巧の詰まった作品は希少価値が高い。

【MUSKAAN】https://www.muskaan.jp/

アップサイクルはコミュニケーションが生まれる消費スタイル

今回紹介したブランドはほんの一部にすぎず、他にも多数のアップサイクルブランドがあり、意外に私たちの周りに溢れているので、感じるままに是非手にとってみたい。業界もアパレルから家具、伝統工芸に至るまで様々で、またそれをデザインする作り手たちも若手デザイナーからベテランまで世代も様々。そのため、受けとる消費者側も幅広い世代で今後より一層広がりをみせるだろう。

大量生産された製品を“ただ何も考えず購入する”のではなく、製品が生まれたストーリーに目をやり、作り手から直接物を買う。スマホのフリマアプリの流行からも見てとれるように、一点物への関心も高まりアップサイクル品を求める消費者が増えている現在は、この“コミュニケーションを楽しむ”消費スタイルそのものにも価値があるのではないだろうか。海洋プラスチックごみや地球温暖化問題など地球環境の未来は確かにもう待ったなしの状況だが、私たちが今できるライフスタイルの変革は決して無理して行うものだけではない、意外とオシャレで面白みが詰まっている。

【参考:Ethical Leaf】https://ethical-leaf.com/1031/

Plastic Fighters Japan(プラスチック・ファイターズ・ジャパン)について

「プラスチック・ファイターズ」は、世界45か国のソーダストリーム幹部職が集結し始動させた使い捨てプラスチック廃止活動。
ホンジュラスのロアタン島で行われたビーチの清掃活動では2000人ものボランティアが集まるなど、大規模な運動へと発展している。

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